第33期新人公演直前インタビュー

第33期新人公演『GO!』を目前に控えた某日某所。

今年の新人担当である高木陽介、中島梓織が新人訓練ならびに新人公演に関して、インタビューに答えてくれました。

15人という、異例の大人数の新人たちを見守る二人の胸の内を、大容量でお送りいたします!

 

 

1.高木陽介

(聞き手:平野光代 記録:八杉美月)

–––まずですね、今年の新人はどんな新人ですか?

 

高木:今年の新人?まあねえ、どうだろうねえ、今年の新人かあ、んーまあね、や、まあでも、元気はいいよ。

 

–––元気いい。

 

高木:元気いい。明るいし、前向きな感じが常にあるね。特に台本稽古に入ってからは、全員が前向きになった感じがあるかな。和気藹々としてる感じがする。まあ人数が多いっていうところもあるとは思うんだけど。

 

–––そういう方針はあったりするんですか?

 

高木:特にこっちから僕らからそういう雰囲気作りみたいなのはしてなくて。でも一つ、こっちサイドのonとoffをしっかり切り替えようとは思ってる。稽古をする時は稽古のモード、それ以外の時間は全然普通に新人達とも接する。変に稽古以外のところも気を張ったりとか、新人担当っていう役割を別に無理してやる必要はないよねっていうところは中島とも話して。まあでもそれも、特に意識してるわけじゃないし、自然とそういう雰囲気は向こうからも作れてるかな、と思う。

あとは、新人担当だから厳しく接するとかではなくて、思ったことを思った通りに接するように気をつけてる。バレるんだよね、そういうの変に頑張って新人担当を演じようとしてる感じは。新人は敏感にわかるから、それはやだなと思って。だから変にキャラクターを演じたことありしないようにって思う。

 

–––今年は、フィードバックシートを作るなど、例年とは違ったことを色々してると思うのですが、そこにはどういう意図がありましたか?

 

高木:新人訓練に関しては、どこの劇団やサークルにも、やっぱりある種そういう伝統とか歴史みたいなのがあって、それぞれのやり方があって、それはすごくいいことなんだろうと思う。でも、自分たちが新人訓練をやるんだったら今年しかできないことをしたいな、っていうのは考えてて。自分たちにとっても新人達にとっても、もちろん意味のあるものにしたいし。そういうことを考えてたら、せっかくほぼ毎日稽古とかをやるわけだから、ただ時間に来て時間までやって、それを繰り返すんじゃなくて、新人も新人担当も積み重ねが意識できるような、新しいことをやりたいなと思って。ただ繰り返してるとね、飽きちゃうから、俺も。

 

–––フィードバックシートは効果的でしたか?

高木:それはわかんないなあ。効果的かはわからないけど、でも、新人が、考えてることとか、実はこう思ってるとかを、割と素直に書くから、結構それを見るのが面白いというか勉強になる。毎日書かせるんだけど、分量もみんなすごい多くて。自分たちが新人だった頃に同じことをやってたら俺多分めんどくさくて絶対毎回一行とかで済ませてたと思うんだけど。

 

–––(笑)

 

高木:みんな真面目っていうか、ちゃんと真剣に向き合ってるっていうことがわかって、それはこっちが知れて嬉しいっていうのが一つの効果としてあったかな。

 

 

–––なるほど。今年は新人が15人いますが15人いる大変さとかはありましたか?

 

高木:最初の頃は運営とか、稽古の進め方で難しかった。やっぱり人がいっぱいいるから見切れないし、時間もカツカツになって。まあでも慣れてくれば割とスムーズというか今まで通りの稽古の進め方にできてきたかな。あとは、さっき和気藹々って言ったけどそればかっりじゃなくて、沈んでる時期だとか当然あるわけでそういう時に雰囲気が伝染しやすくてダメな時はみんながダメ。15人全員が下降気味だったり、かといえば全員がよし行くぞってなったりとか。そういう波をうまく上向きに行かせるのが自分たちの役割なのかなとは思う。

 

–––えーっと、中島さんはどんな新人担当だと思いますか?

 

高木:まあでも新人担当としてのいかたは似てるというか、そういう方針で、っていうのは二人で話したから。新人からしたらそれこそ新人担当という、変に接しずらい感じは全然ないのかなと思う。親身になって自分たちを見てくれるっていう感覚があるんじゃない新人達は。それはすごくいいことだと思う。

 

–––今年の公演はどんな感じになりそうですか?

 

高木:新人公演にかかわらず演劇の公演をせっかく見に行くんだったら見てて面白くて楽しいの がいいなと思って。新人公演は毎年コメディ作品をやってくわけで、どんなお客さんが見ても面白いな、っていう作品を作りたいし、新人達にはそういう面白い作品の役者になってほしい。人数もいるし、賑やかで面白い作品になってると思います

 

–––どんなお話ですか?

 

高木:笑って、泣いて、最後には、笑える話ですよ、家族に会いたくなるお話…だね!

 

–––では、最後に、新人のいいところを教えてください。

 

高木:一人一人見れば、性格とかルックスとか、個性があるし、それは当然なんだけど、全員でいたら空気感とか一体感みたいなのが最近生まれてきて、そういうところがすごくいいと思う。今年は公演の日にちが遅いし、稽古できる期間がたくさんあるから、最後まで、作品として、誰が見ても面白い作品を新人達と作っていけるか、が課題であり、作っていきますという宣言です。ね。

 

 

–––ありがとうございました!

 

2.中島梓織

(聞き手:平野光代 記録:八杉美月 相槌:高木陽介)

–––今年の新人はどんな新人ですか?

 

中島:素直なんじゃないかなと思う。全体的に言うとね。演劇をやりたいとか演劇が好きだとか新人公演を良いものにするぞっていうのって、私たちが新人の時って、表に出せなかったっていうか。まず気持ちを新人担当に見せるみたいなことはあんまりしてなくて自分が新人の時を思い出せば私たちはこう思いますとか私達は頑張りますみたいなのを見せつけてくれる。

高木:バカ。バカバカ。

中島:見せつけてくるし数も多いし、最近はそれをエネルギーとして保てるようになってきたのかなと見てて思って。そういう気持ちとかに対して自分たちにも周りにも素直に表せる子達だなと。

 

–––15人いて大変なこととかありますか

 

中島:大変じゃないとは絶対言えない。15人もいたら、それこそ、この子は調子いいけどこの子は調子悪いなみたいなのも全然あるし、一人の方を見て、この子だけこの子だけって見られない分、それぞれに任せないといけない部分も出てくる。だけどそこのバランスの取り方みたいなのはこっちがやってあげないといけないから。いっぱいいると、簡単にいうと目が行き届かない。でもそれぞれ見たいなって思う瞬間があるから、いい意味でも大変っていう。全員から目が離せないのに目が二つ、あるいは4つしかないから見切れないっていう部分と。目に付くところがいっぱいあるから直しきれない~みたいなのもある。

 

高木:俺、実は目が三つあるんだ。

 

中島以外:(笑)

 

–––「 一同 :(笑)」って書いときます

 

中島:いや、中島は笑ってない(笑)

 

–––じゃ「中島以外 :(笑)」って書いときます

 

中島:今年は全員百パー見ることはできないっていうのは、もう入団意思決定日の時から「あはは」って思ってたから、じゃあその中でどうするか。やっと最近バランスがつかめてきたけど肉体訓練の時は特に大変。みんな同じことしてたから。しかもその中でそれぞれ個性とかを出し始めるから何やってるかわかんないこともあった。

 

–––今年方針はどんな感じなんしょう

 

中島:方針は、最近ちょっと変わってきたちゃったんだけど、台本を作るまでの段階、肉体訓練は、演劇倶楽部で代々受け継がれてきたメニューに対して、私たちが用意したみたいにしたくなくて。私たちが、これをやりなさいっていうんじゃなくて、「演劇倶楽部では代々こういうのをやってます」みたいなのがある。それを役者として実際に体を使ってやる新人と、メニューをやってる人を見て「これはこうしたほうがよくなるんじゃないか」っていう提案をする新人担当。

それぞれの立場から、メニューに向き合うみたいな。間にメニューを置いて、新人は新人のやり方で、新人担当は新人担当のやり方でメニューに向き合うみたいなことを意識してる。それはメニューだけじゃなくて、作品に対しても同じかな。

 

–––新人のいいところはどんなところですか

 

中島:元気!

 

高木:同じこと言ってる。や、それが一番だよ、若者は。

 

中島:2個くらいしか違わないんだけど、私と高木の方が元気ないみたいな。昨日も夜までやってたのに、元気だねえ、ご飯いっぱい食べるねえ、みたいな。健康的。体も心も、健康が一番だし。さっき素直とか正直とか言ったけど、やっぱりそうで、そこで無理しすぎたり壊れるまでやったりしないって無意識にできていて。それが基本的にはよくて。長い期間稽古していく中で元気でやってくれることが一番いいなって。みんな周りを周りを見ようとかみんなでやろうとかどうしたらみんなでできるかっていうことを考える癖はついてきてる。それは今年ならではっていうか、ちゃんといいところですって言えるなって。

だから逆にこれからはちょっと自分を出して言っていいのかなとは思うけどね、それぞれが自分のキャラクターを深めていって作品に作用するっていうのもあるんだよって、気づけたらもっといいと思う。

 

 

–––今後の課題は?

 

中島:考えてることとか、素、そのままが本当に面白いし、だからこそ、今、33期らしい脚本になっているから、じゃあそれをどう出力するかっていう。レパートリーとかテクニックを。最後までくらいついていって、どう表現するか、見つけて欲しい。

 

–––ちなみに、高木さんって、どんな新人担当ですか?

 

中島:新人から見たら、実はみんな高木の方が好きだと思う。高木さんは味方、って、それこそ最近。私が演出家ぶり始めたから、高木は全然スタンスを変えてないから、最初から今まで、変えないでずっときてるからそこに対する信頼とかは新人からはあると思う。私って、「私はこういう人」みたいなのが後からバレるの恥ずかしいから、先に、バッて言っちゃうんだけど、高木は…高木は…あの…どんどんわかっていく(笑)

 

高木:ボロが?

 

中島:ボロとかじゃなくて、いいところとか、人間らしいところが(笑)みんなどんどん高木のことを好きになってくなっていう。私はそれが勝手に嬉しい(笑)

 

高木:やばいぞ、こっから更にキャラ変えてこ。

 

中島:高木は、新人とか新人公演を作るにあたって、今、その場でどっち側にいた方がいいかっていうのを、その場その場で柔軟に対応してくれてるから,

1人でやるより全然よかったなって思う。演出家が2人いた方がいいなっていう時があるし、もう一人外から見てくれる人がいる方がいいなっていうのはある.普通の公演に比べてやっぱり目が足りないから。かといえば私の力が大きくなりすぎちゃう時に役者側にまわってもらって、新人の立場になってバランスが取れたりするのが、上手くできる人だなとは思うのでね、だからよかったよね。一人ではやっぱりできなかったなと。

 

–––今年の公演はどんな公演ですか

 

中島:ハートフル…タイムスリップ…ドタバタ、ラブ、コメディー、です(笑)

あったかいと思います、熱い、というよりあったかい!リビングでおかし食べてるみたいな気持ちで、見守ったり見届けたりすることができるんじゃないかな。

 

高木:見てる側がね、変に気負ったり緊張するようなやつはあんまりやだからね。

 

中島:舞台に乗ってる彼らも登場人物も、すごく必死で物語を駆け巡っているんだけれども、

皆さんは、にやにや、にこにこ、わっはっはみたいな感じで。でまあ最後ほろっと来てもらえれば万々歳かな、みたいな感じで。新人公演だけれども一個公演として満足できるような。演劇初めて観る人でも、楽しめる作品だと思うので、どうぞ、お楽しみに!

 

–––それでは最後に、お二人から、一言ずつお願いします!

 

中島:新人公演『GO!』すごくいいタイトルだと思います、このタイトルのようにまっすぐに、時には寄り道をしながら走り続けてきた新人達の最後の姿を見に来ていただけたらと思います!

よろしくお願いします!

 

高木:まあ、そうですね、まあ……平成…最後のね……

 

–––それ言っちゃうんですね

 

一同:(笑)

 

高木:まあ…平成最後の夏ということもあり…平成最後の夏にふさわしい…平成最後の…平成最後のあっははははは!

 

–––回答の順番間違えましたね

 

高木:うはははは!はい!じゃあ、仕切り直しということで。いろいろインタビュー言ってきましたけど、お客さまには面白いものを見せるつもりなのでね、出来上がったものがやっぱりすべてなので、楽しみにしていてください。いいものになると思います。いいものです。GO!

  

–––お二人とも、ありがとうございました!

 

 

以上、2名の新人担当と、15名の新人で作り上げた

2018年の演劇倶楽部新人公演『GO!』

一夏をかけた迫力ある作品に乞うご期待です!!!